「外壁の北側が緑色になってきた。自分で落とせるかな?」「ホームセンターで高圧洗浄機を買って掃除しようと思うんだけど、大丈夫?」――こんなご相談をよくいただきます。
千葉県野田市で外壁塗装ひと筋18年、施工実績500棟以上の優建装・田中です。外壁のコケは見た目が気になるだけでなく、放っておくと塗膜を侵食して劣化を加速させます。ただし、自分で落とそうとして逆に外壁を傷つけてしまうケースも少なくありません。
この記事では、自分でコケを安全に落とせる範囲と、プロに任せるべきラインを職人の視点から明確にお伝えします。読み終わるころには、DIYでやっていい範囲とプロに頼むべき範囲を判断できるようになります。
まず確認|外壁のコケはDIYでOKかプロに依頼か
コケの状態によって、自分で対処できるかどうかが変わります。以下のフローで判断してください。
| コケの状態 | 具体的な目安 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| うっすら緑がかっている程度 | 手で触るとわずかにぬめる。面積は壁1面の1/4以下 | DIYでOK | 柔らかいブラシと中性洗剤で除去可能 |
| はっきり緑色で広範囲 | 壁1面の半分以上。コケの厚みがある | プロに相談 | 塗膜の防水性が低下している可能性が高い |
| コケ+チョーキング・ひび割れ | コケ以外の劣化サインも出ている | プロに依頼 | コケ除去だけでは解決しない。塗り替えの検討が必要 |
| 2階以上の高所にコケ | 脚立で届かない高さ | プロに依頼 | 高所作業は転落事故のリスクがある |
| 洗浄しても半年で再発する | 過去にDIYで落としたが繰り返す | プロに依頼 | 塗膜自体の防水性が限界。防藻塗料での塗り替えを検討 |
「DIYでOK」に当てはまった方は、次の章の手順で安全にコケを落とせます。それ以外の方は、一度プロに外壁の状態を見てもらうことをおすすめします。
自分で外壁のコケを落とす方法|安全な手順4ステップ
用意するもの
ホームセンターで手に入るものだけで対応できます。
- 外壁用の中性洗剤(外壁クリーナー)
- 柔らかいブラシ(車用の洗車ブラシがおすすめ)
- ホース(散水用)
- バケツ
- ゴム手袋
ステップ1:水で全体を濡らす
ホースでコケの生えている部分とその周辺を十分に濡らしてください。乾いた状態でこするとコケが壁に擦り込まれ、逆に取れにくくなることがあります。
ステップ2:中性洗剤を塗布する
バケツで薄めた中性洗剤(外壁クリーナー)をコケの部分に塗布し、5〜10分ほど浸透させます。洗剤がコケの根元に浸透することで、ブラシで落としやすくなります。
ステップ3:柔らかいブラシで軽くこする
力を入れずに、ブラシで円を描くようにやさしくこすってください。ゴシゴシ強くこするのは絶対にNGです。コケと一緒に塗膜を削ってしまい、外壁の防水性が落ちてしまいます。
ブラシは必ず柔らかいものを使ってください。金属ブラシやデッキブラシのような硬いブラシは外壁を傷つけます。
ステップ4:水で洗い流す
ホースの水で洗剤とコケを洗い流します。このとき、上から下に向かって水を流してください。下から上に向けると、サイディングの継ぎ目や通気口から水が入り込む可能性があります。
絶対にやってはいけないNG行為3つ
NG①:家庭用高圧洗浄機で外壁を洗う
これが最も多い失敗です。ホームセンターで売っている高圧洗浄機は、使い方を間違えると塗膜ごと剥がしてしまいます。
野田市のお客様で「高圧洗浄機でコケを落としたらスッキリきれいになった」と喜んでいたのですが、後日見に行ったら壁の表面がザラザラになっていました。コケと一緒に塗膜を削り取ってしまい、防水性がゼロの状態。結局、予定していなかった全面塗り替えが必要になりました。
プロが使う高圧洗浄機は水圧を細かくコントロールできますが、家庭用は調整が難しいため、外壁への使用は避けてください。
NG②:塩素系漂白剤(カビキラー等)を使う
お風呂のカビ取りの感覚で塩素系漂白剤を外壁に使う方がいますが、外壁の塗膜や素材を傷める原因になります。塩素系は金属部分をサビさせるリスクもあります。外壁には必ず「外壁用」と明記された中性洗剤を使ってください。
NG③:硬いブラシやたわしでゴシゴシこする
金属ブラシ・デッキブラシ・メラミンスポンジなど硬い素材でこすると、塗膜に傷がつきます。傷がついた箇所はさらにコケが生えやすくなるため、悪循環に陥ります。
コケが生える本当の原因|「掃除」では根本解決にならない理由
外壁にコケが生える原因は、大きく分けて2つあります。
原因①:立地環境(日当たり・湿気)
北面や隣家との間の狭い面は日が当たらず、湿気がたまりやすいためコケが発生しやすくなります。特に私が施工している野田市・流山市のような江戸川沿いの地域は湿度が高く、築12〜13年のお宅でも北面だけびっしりコケが付いていることは珍しくありません。
原因②:塗膜の防水性低下
新しい塗膜は水を弾くため、コケの胞子が付着しても根を張りにくい状態です。しかし塗膜が経年劣化で防水性を失うと、外壁が水分を保持しやすくなり、コケの温床になります。
つまり、コケが広範囲に生えているということは、塗膜の防水性が落ちているサインなんです。表面のコケを掃除しても、塗膜が劣化している限りまた生えてきます。「洗浄しても半年で再発する」という状態は、塗り替え時期が来ているという外壁からのメッセージです。
再発を防ぐには|防藻塗料の実力
コケの再発を根本的に防ぐには、防藻・防カビ機能を持った塗料で塗り替えるのが最も効果的です。
私はアステックペイント登録店として、防藻性能が強化された塗料を多く施工してきました。実感として、防藻塗料で塗り替えたお宅は、通常塗料で塗ったお宅に比べてコケの再発が明らかに遅い傾向があります。特に北面でその差が顕著に出ます。
流山市で築16年・北面のコケが深刻だったお宅に防藻性能付きの無機塗料で塗り替えを行ったところ、施工から3年経った時点でもコケの再発はほとんど見られませんでした。同じ立地条件で通常塗料を使った近隣のお宅は、2年ほどでうっすらコケが出始めていましたので、防藻塗料の効果は確かにあると感じています。
ただし、防藻塗料も永久にコケを防げるわけではありません。塗膜の寿命とともに効果は徐々に低下します。それでも「コケの再発を数年単位で遅らせられる」という点で、湿度の高い地域では非常に有効な選択肢です。
よくあるご質問
コケ除去の業者に頼むといくらくらいかかりますか?
外壁の高圧洗浄(コケ除去含む)だけであれば、30坪の住宅で3〜5万円程度が目安です。ただし足場が必要な範囲がある場合は足場代(15〜20万円)が別途かかります。コケの状態が広範囲で塗膜の劣化も進んでいる場合は、洗浄だけでなく塗り替えを検討したほうがトータルで経済的です。
外壁用のコケ取りスプレーは効果がありますか?
軽度のコケであれば一定の効果はあります。スプレーして放置するだけの手軽さが魅力ですが、根が深いコケや広範囲のコケには効果が限定的です。また、製品によっては外壁の素材との相性が悪いものもあるため、使用前に目立たない場所で試してから使ってください。
植栽を外壁から離せばコケは減りますか?
効果はあります。植栽が外壁に近いと、葉から落ちる水滴や影による湿気がコケの発生を助長します。外壁から50cm以上離すだけでも通気が改善されコケが付きにくくなります。
田中 優(たなか ひろ)|優建装 代表
千葉県野田市を拠点に創業18年・施工実績500棟以上。アステックペイント登録店・プレマテックス取扱許可。現地調査から施工・アフターまで代表1人が責任対応。「一棟一棟大切に」を信条に、地域密着で誠実な仕事を続けています。
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